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⊿delta

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『アイツ』

『こばと。』二次小説up。原作設定。
小鳩さんおたおめ企画。
すごく遅くなってごめんね小鳩さん…(´・ω・`)
↑日付詐称してるけど今日は2016/1/6です☆

本文は追記からどうぞ―。




 『アイツ』



 それはいつか、御守りのような存在になっていた。
 携帯のアドレスの一番上なばかりに、必ず目につく。指が止まる。かかりもしないのに、消せないままずっと引っかかっていた。仕事用はともかく、私用の登録数はそれほど多くない。そういう性格の自分が、これが誰の番号なのか思い出せなかった。
 その違和感の凄まじさ。胸を引き絞られるようなとんでもない苛立ち。なのに、ほんの欠片のような安堵が隅から湧いて、瞬く間に自分を包んで落ち着かせてしまう驚き。どうしてそう思うのか、一縷の――希望。
 そんな奇妙な感情の成り行きは時折、……目頭を熱くさえさせた。機種変更を繰り返すほどに時が過ぎても、どうしても削除する気にはなれなかった。



 だからある意味、彼女はずっと藤本の傍らにあったと言えるかもしれない。
『ありがとうございます藤本さん!』
 そんなふうに本題から叫ぶ癖は昔のままだなと、ぼんやり浮かぶ。きぃんと鼓膜に響く前に、藤本はすかさず携帯から耳を離した。
 恐るべし慣れ。
 苦笑いというのにも色々あるわけだが、彼女を相手にする場合のみに含まれる特別なものに、藤本は重ねて苦笑った。いや、と少し詰まって、「おめでとう」と短く伝えた。……こばと、と続けた面映ゆさにも、同じ想いが乗った。
 礼を言われたのは、今日が彼女の誕生日で、自分が先程メールを送ったからだ。正確には朝七時くらいだったか。家を出るには、自分も彼女もまだまだ余裕のある時間だ。しかしまさか、電話がかかってくるとは思わなかったが。
「ちゃんと起きてたんだな?」
 つい、揶揄いが口をついて出る。む、としたように小鳩が『起きてます!』と叫んだ。飲みかけの珈琲をテーブルに置き、藤本は椅子に腰かけた。
「じゃ、昨日はちゃんと早く寝たのか?」
 そう聞くのは、ここのところ彼女が夜更かしをしていたのを知っているからだ。それでなくても朝に弱く、寝坊する方なのに。(そのくせあまり遅刻をしないところは全く不思議だ)。とは言え、勉強をしているのだと言われれば、藤本もそうかとしか言いようがなかった。……のだが、どうやらそのせいで小鳩は先日体調を崩した。彼女は強くて強くてしょうがない、という体質では決してない。そうなると話は別になってくるのも、致し方ないことだろう。
『ね、寝ました……よ?』
 携帯の向こうで口ごもる気配に、藤本は眉を片方、ひそめる。しっかりと伝わるように、深くため息をついた。
「何時に」
 う、と小鳩がまた口ごもる。「一時前には……」と声を小さくしていったと思えば、「でもでも! もう熱は下がりましたから!」と大きく主張した。
「一時は早くない」
『藤本さんに言われたくありませんっ』
 確かにその通り、藤本も仕事柄もっと遅い時はある。だが、今はそういう話ではないので特に怯まない。
「俺は病人じゃない」
『こばとももう病人じゃありま――ッ』
 ゴホゴホと、矢継早の遣り取りに小鳩が咳き込んだ。そうなってやっと、ヒヤリと藤本の背中が冷える。しまった興奮させたと、駆けつけられるわけでもないのに慌てて椅子から立ち上がった。
「おい、だいじょうぶか?」
『だ、だいじょうぶです~』
 いくぶん落ち着いた様子に息をつく。藤本は再び、眉をひそめた。別に口うるさいことを言いたいわけではない。ないのだが、言うことは言っておかなくては。――などと変に心を鬼にして、ゆっくりめの声を紡いだ。
「ほら見ろ、治ってない」
 だから言ったんだ、ともぼやく。うう、と小鳩が呻いた。
「学校は」
『行きますよ? もう着替えもバッチリです!』
「…………。そうか」
 すっかり連なった皺の山脈が、藤本の眉間に色濃く影を刻み込む。
『藤本さん?』
「なんだ」
『……むずかしいかお、なさってるでしょう?』
 唐突に小鳩が、そう声を弾ませた。藤本は瞬いて、ドサっと、宙に浮いたままだった腰をまた椅子に下ろした。
 なんで嬉しそうに言うんだ。
 心中ひとりごち、「~~~~悪いか」と口にする。
 どうしてわかったのか、とは聞かない。電話だってわかるものだと、藤本も身に覚えがあるからだ。それほど、相手を感じ取ろうとしていれば。
『いいえ? ――ありがとうございます』
 急に大人びた声で、しっとりと小鳩は告げる。不意打ちで、藤本は軽く赤らんだ。それも伝わってしまう気がして、今度は頬を、携帯から離した。
「――か、」
『か?』
「帰りは? 遅いのか?」
 言いながら体勢は戻したものの、落ち着きは戻らない。若干掠れた喉を数回鳴らして、藤本は小鳩に尋ねた。
『いつもと同じくらいです!』
 明るい声が受話器から跳ね出す。と、それが急にしおれた気配がして、藤本は首を傾げた。
『今日は藤本さんに、会えますか?』
 この素直さに、いつも先を越されるのだ自分は。
 訊きたかったのは同じことで、だから少々、藤本は悔しいような気分になった。こんなことで負けず嫌いとか、と自嘲もする。ひた隠して、「ああ」と確かに頷いた。



 とりとめもない遣り取りの後、会話を切り上げた。携帯に表示された時間を、藤本は確認する。そろそろ出かけなくてはと思いつつ、ふと指をアドレス帳に滑らせた。
 アイツ、と登録された番号をじっと見つめる。
 今はもう思い出していても、やはり消せなかった。長すぎる時を経て戻ってきた彼女の番号は、だからフルネームで別に登録してある。
 あの短い季節、あの若すぎる自分の傍らにいてくれた、あの彼女。
 今の彼女がどうという話ではない。でもこの番号は――思えば唯一の手掛かりだったのだ。自分がアイツとしか呼べなかった、アイツの。それにもう、ずいぶんと長く手元に置きすぎて、ないと落ち着かない。わざわざ消す必要だって、見当たらない。いいや単純に、自分から手放したりはしたくないのだ。奪われていてなお、残されていたこのたったひとつを。知らず、自分を支えてくれていたものを。
 そう言えば、と藤本は瞬いた。
 アイツの誕生日は、いつだったんだろうな。
 今のアイツと一緒なのか、違うのか。悩んだところでわかりもしないことを悩む。天井を仰ぎ、今のアイツに訊いたらわかるのだろうか、と思いついた。が、藤本は無言ののちに首を元に戻し、思い直す。訊いてもいいが、訊く場面など全く思いつかない。そうした場面に誘導するなんて高等技術は、もっと思いつかない。そんな器用な自分は、……以下同文だ。
 右手でマグカップを取り、飲み干したはずの珈琲を、藤本はもう一度飲み干した。残った香りの一服だけでも、自問から戻るには十分としたものだ。たん、とテーブルに戻し、左手の携帯の中、件の番号を再び真っ直ぐ見据えた。
「わからんがとりあえず、おまえもおめでとう」
 自宅で良かった。他人が見ていたら、携帯に話しかけている妙な人だと思うことだろう。
 はたと時間に気がついて、やべ遅れる、と立ち上がった。






 fin.


<後書き>
原作3巻27P参照。
あの電話番号が実は消えてなかったら良いな、と思ってできたお話。
(本文中の誤字修正しました!ご指摘ありがとうございますw)

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Re: 次回は、小鳩ちゃん目線?

▽ツンデレラさま
こちらこそ今年も宜しくお願いいたします(*´▽`*)

いお様ね、どっから出したんでしょうねあの携帯。
○次元ポケットならぬ天界バッグなの!?とかとか思いましたwww

>次回作
おおそう来ますか!(笑)
ちっとも考えてませんでした!
それはアリですね~( ..)φメモメモ
受験生かな?と書いた私がハテナを飛ばしながら書きましたよ実は。←ひどい適当だな!

それはそうと、どうぞご自愛くださいね?
(ブログでちらと拝見しましたので)
人様のことは言えませんが、リアル充実、心身充実しての二次活動ですから!
私も諸々、色々、鋭意励みます('◇')ゞ

Re: 思いますよねー(首肯)。

▽五月生さま
有難う御座いましたおかげさまで早期段階にこそりと誤字訂正できました。
PC新しくなったの忘れて油断してました(/ω\)
まさかそんな変換出てるとは夢にも思わなかったとか、まあ言い訳しておきますorz
今年もどうぞこの調子で宜しくお願いいたします(笑)←コラ

原作では、謎は謎のままでしたからね~私も気になるところです。

>でるたさん優しいですね兄さんに、
そうですかね?(笑)
まあでもアニメ兄さんよりは原作兄さんに優しいかもしれませぬ。
各人の行動を顧みた結果としてww

Re: タイトルなし

▽murasameさま
有難う御座います!
こちらこそ今年も宜しくお願いいたします(*´ω`*)

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