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⊿delta

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『花は紫、天使は月見遊山。』中篇

『こばと。』二次小説up。

中篇です中篇。

コメレスしております!
ご確認済みかもしれませんが、まだでしたらお暇な時にでもー。
いやホントにいつもありがとうごぜぇます(平身低頭)

中篇はちょっと短めです。
切るとこが難しかったので(´・ω・`)
後篇(←こっちは長い)もすぐupできるかなー。
できたらいいなー。

では、本文は追記からどうぞー。




 『花は紫、天使は月見遊山。』中篇



 其ノ四 店ノ看板鳥

「――……んでまァ、今に至るわけですよ! このヒトったら、ああヒトじゃないんですけどね! もーそれからはどうやったら常に元の姿でいられるかって、ソレばっかりですよ! なんですか? イロコイ? イロボケ? まァあんまり暴れなくなったのは有難かったんですけどねェ。けどもゥ、私達も可笑しいやら呆れるやら何やらでして……」
「……そうか焼き鳥がいいか。あァ!? 黒焦げじゃなくてもテメェなんざ喰わねぇけどな!」
「ぎゃあァァァァァァァァァァッ!?」
 あわや丸焦げにされる寸前で、瑞祥は飛び上がった。逃げそびれた尾っぽが、ちりちりと燃えて熱い。慌てた羽でばっさばっさと叩いてみたら、残念、そちらにも火がついた。ぎゃーぎゃー騒いで飛び回り、森の木々にあちこちぶつかりながら消火をし、くたくたになる。が、ひと段落の後、迷うことなく真っ直ぐ一行のもとへ戻り、いおりょぎの前で(ちょっと距離を取ってしまうとこが弱気だ)羽ばたきながら止まった。陰も表もなく何でもかんでも喋ってしまうこの口が悪いとは露の『つ』の字も思わず、ぎゃんぎゃんと更に甲高い声で抗議をした。
「なんですか今更! もゥ周知の事実ですよ!? 大体そうやって火を吐けばいいと思って、お客サマやせっかくのお饅頭が巻き添えを食ったらどうするんですかっ」
「そうですよいおりょぎさん、もうろくはだめです!」
「オレ様は長生きだが耄碌はしてねェ。ひょっとして暴力か? 水晶。てかおまえもな、そういうことじゃねぇだろうが。コイツが事細かく、んなコトを知ってるってことは、つまり見られてたってことだぞ!」
「え? ええっ!?」
「あらまぁ、そうなんですか瑞祥さん」
「えぇ? ええまぁ。だってあの日、満月が昇る途中まで五百祇様を送って行ったの私ですよ? なのにその恩は忘れてまったくこのヒトときたら! 酷いと思いません!?」
 いおりょぎが連れてきた客の方へ、瑞祥はくるりと向き直る。ついさっき、店先で素晴らしい歌声を披露してくれたばかりのこの客――琥珀に、瑞祥はすっかり好感を持っていた。その声とともに目覚めた水晶が、重なるように口ずさんだからまたうっとりだった。
「うるさいぞ瑞祥」
 と、のれんの裏から店主の玄琥が現れる。ええ~私だけですか? と不満に思った言葉を、胸に留めず実際に喋ってしまうのが自分、瑞祥だ。今更、悪びれる気はない。が、玄琥がジロリと流した横目には、ヒヤリと唾を呑み込んだ。しょうがなく、モゴモゴと嘴を噤むことにした。
「おまえは軽口が過ぎるんだ。――まァ面白可笑しいのは解るがな」
「でしょでしょう!?」
 一秒ともたなかった沈黙は、とりあえず横に置いておく。
 何か背中が熱いと思って、瑞祥はハッとした。またもやいおりょぎに狙われている。突き刺さるような凶悪な視線を避け、あたふたと玄琥の肩へ移動した。
「おいクマ、躾がなってねェんじゃねェか?」
「ハ! 出来てたらオメェの躾ももっとマシに出来てたろーよ」
 流石の鋭い切り返しは見事だ。玄琥様素敵! と、瑞祥は惜しみない称賛を送る。(つまり自分の躾も出来てないと言われているのだが、そこは別に気に留めない。何故ならもともと躾けられた記憶もないし、その必要もないくらい常識的な鳥だからだ!)
 ぐぬぬぬぬと暗雲背負ったいおりょぎに、玄琥は淡々とした視線を注いだ。雰囲気は一触即発。――だが一方で、「こちらの皆さんも仲良しさんですね」「はいそちらもですか?」「ええもちろん」などと和やかに、琥珀と水晶が会話をしていた。ふわふわほえほえ、空気はのどかだ。「あちらの玄琥さんはバームクーヘンを作られてるんですよ」「ばむ……?」「バームクーヘンです。ええと、ケーキのような」「けぇき?」「切り株の形をした……」「えぇ!? 固くないのですか!?」「やわらかいですよ?」「すごいですね切り株なのに!」「えぇすごいんです」……なんて軽やかな勢いで続けるものだから、周囲からどんどんどんどん、毒気は抜かれていった。
 げにおそろしきは天然(二倍)。
「「……………………」」
 先に玄琥が天を仰いで、ぷはと嘆息した。そうなるといおりょぎも引き下がらざるをえなくなったのだろう。どすっと、不本意げにあぐらをかいた。
「……まァいい。本題に移るとしようや」
「……おゥ」
 過去最速だったかもしれない手打ちの経緯に、瑞祥は舌を巻いた。



 其ノ五 山ノ藤

 うっすらとした弦月の下、泣き声があまりに響いていたから、つい姿を見せてしまった。夕陽の名残も消え去った、夜に似つかわしくない子どもの声。この山の結界を通り抜けるほどのそれを、どちらかと言えば不審――? に思ったからだ。助けてやろうなんて、藤にそういうつもりはなかった。
 もういつからそうだったのか。
 憶えていないほど、彼は長くそこに宿ってきた。根を張ったこの山で、ぼんやりとしている間に一番の長寿となって、主と呼ばれる存在になってしまった。煩わしいことを好まない性格もあって、だからか、山も自然と人足を拒むものとなった。なのに彼女のすすり泣きは、あんまりにもあっさりと届いたのだ。まるで藤の天辺に、月から雨がそぼ降ってきたかのようだった。
 この山の中でありさえすれば、主の彼は何処にでも姿を顕せる。当然、嗚咽の在り処を見つけることもたやすかった。おい、と一言。まだ幼かった彼女に呼びかけた。こんな処で何をしている、と尋ねた。今でもあれは、随分と不遜な態度に見えたのではないかと思うのだが、彼女はちっとも物怖じしなかった。涙をいっぱいためたまま、かみさまですか、と訊き返した。声音の真っ直ぐさに、むしろ彼の方が気圧されてしまった。
 ……ちがう。そんな大層なもんじゃねぇ。
 ふぇ? でもきれいです。
 は?
 むらさきがきらきら……たくさん。
 視えるのかと、今度は驚いて詰まった。おやまいっぱいにあつまったいろとおんなじです。そう続いた声の涼しさに、また絶句させられた。近くで捉えればなんとも深く、それに透明な――そう、ただ無為に年を経ただけの自分よりも余程。神と呼ばれる存在に近く思えた。人でも、幼い子どもには時々ある性質だと聞く。成程これがそういったものかと、ならば入り込んでもしょうがないかと、彼は漸う納得した。
 母が病なのだと、薬草を探しに来たのだと、彼女はそう言った。それで道に迷ったのかと訊けば、その通りだと目を丸くした。山は彼にとって庭のようなもの。だから目あての薬草を訊き出し、場所だけを教えて、適当に厄介払いをするつもりだった。……稀な性質を持った彼女が、これまた稀に見るほど抜けていて、かつ方向音痴でさえなければ。
 ありがとうございますっ。あっちですね!
 ちょっと待てそっちじゃねぇ! 危なっ
 きゃあっ!?
 向かおうとする先は崖だったり、一歩歩けば木の根につまづいたり、転べば地面に顔から突っ込んだり。――人とは皆、これほど危なっかしい生き物なのだろうかと真剣に悩んで、いやいやそんな話は聞いたこともないと思い直した。単に彼女が、そういう娘だったのだろう。見て見ぬふりを決め込むには、あまりに派手などじっぷり。だんまりで見過ごす方が、すこぶる苛々としてしまった。
 それに考えてみれば、夜だった。中空(なかぞら)に月はあれども、彼には当たり前に進める道でも、幼い彼女にはそうでなかった。このままだと明日、いいやすぐにでも、そのへんで行き倒れそうだと頭を掠めた。思い浮かんだそんな画(え)は、気分が良いものでもなかった(むしろ今ならぞっとする)。更に迷うだろうことは明白で、考えれば考えるほど見るに見かねて、気が気でなくなって。結局、彼は同行を決めてしまった。
 その刹那の記憶は、今なお忘れ難いものがある。
 ……ああもういい、
 みゃ?
 つれてってやる。
 彼が人の子に触れたのは、たぶんそれが初めてだった。抱き上げた柔らかさ――自分より格段に弱いものの温もりに、一瞬、火傷をしたかのような衝撃を受けた。たちまち向けられた笑顔に、目も潰れたような気がした。彼女はそれほど熱く、眩しかったのだ。することもなく、ずっと山奥に籠っていた藤の彼には。
 山は人足を拒んできたはずだったのに。
 それから彼女は、勝手に入り込むようになってしまった。はじめこそ裾野だけだったはずが、いつか山の、どんな奥深い処にでも。いいや解(ほど)けぬはずの結界が、彼女の前でだけすっかり役立たずになってしまったのだ。つまり彼女がその壁をすり抜けてしまうのは、彼女自身のせいでなく。
 参ったな、と。
 彼はある日、ようやく気づいた。
 その頃にはもう、知らず開いてしまうものを止められなくなっていた。

 人の時は、とんでもなく短いもののはずだった。彼にとって。けれど小さな彼女と出逢ってからのそれは違った。最初はほんのわずかだった、別れた後のもの寂しさ。待ち侘びるということを、だんだんと彼は知ってしまった。
 何もない時も、何かある時も。彼女はたびたび山を、藤を訪れるようになった。
 ――昨日の虹、見ましたか? とっても綺麗でしたね!
 美しいものを見つけた時にも、
 ――今日は食べれるきのこ、たくさん見つけられましたっ
 嬉しいことがあった時にも、
 ――おかあさん、逝ってしまいました……
 大切にしていた母が死んだ時も、
 ――すごいんですよっ、水晶さんが水晶さんになったんです!
 水晶という守り石を引き継いだ時も、
 ――ついに見つけたんですっ、ざしきわらしさん!
 いおりょぎとかいうのを発見した時にも、
 ――あ、あのあの……っ、
 ……村の男に、求婚された時にも。
 憂いに伏せた睫毛が、どきりとするほどしっとりしていた。見たこともないくらい困惑して、ひどく瞳を揺らしていた。どうしていいかわかりませんと、今にも泣き出しそうだった顔を、彼はとても正面から見られなかった。いっそ自分の方でも、どうしていいかわからなかった。
 相手は今の地に住むようになってから、ずっと良くしてくれた幼馴染でもあったらしい。当然見たことはなかったが、彼も話に聞いたことはあった。困った時にいつも、何気なく手を貸してくれるのだと。とても優しくて親切なのだと。
 だからきっと、彼女も嫌いではなかったのだろう。
 反対をするような、彼にはそんな口実も権利も見つけられなかった。ただ、チリリと胸が燻った。苛立ちの理由は解っていても、口にすることはできなかった。人でない――彼女と同じものでない自分が、告げていいと思えなかった。
 ……好きにすればいい。
 気がつけばそんなふうに、自分でも驚くほど冷たい声音を発していた。跳ね上がった彼女の表情が傷ついていたのに、優しい言葉を選び直すこともできなかった。
 もう来るなと言ってしまった時、綺麗になったと同時に思った。だからこそ、期限(とき)も近づいているかもしれないとも。彼女はもう、すぐにでも大人になってしまいそうだった。心根の清(すが)しさは幼い頃から変わらずとも、彼女はやはり人だったから。いつ変わってしまって、いつ此処を――見つけられなくなってしまうのかと。彼は密かに、ずっと怯えていた。束の間の時を重ねるほどに育つ恐怖を、どうしようもなく持て余していた。失えなくなる前に、終わらせようとしたのだ。――なのに。
 藤ノ木さんと、呼ぶ声がした。
 藤ノ木さん! 藤ノ木さん藤ノ木さん藤ノ木さん……っ
 一度は気のせいだと、思おうとしたのに何度も。
 彼から道を閉じることは、やはりできなかった。そんなことは、自分ながらむなしい努力でしかなかった。できないのだから、もっと前から手遅れだったのだと思い知った。
 飛び込まれたのを抱きとめた時――ずっとこうしたかったのだと、浮かんだ。だから最初の時以上の熱さで、火傷どころか全身、心まで燃やし尽くされそうになった。
 どうして来たんだと尋ねてみた時、はっと彼は息を呑んだ。彼女は既に、人ではなくなっていた。一体どうしてとまたひとりごちて、少しだけ体を離した。
 だって、好きにしろって言いました。
 そういう問題じゃないと、喉元までは上がってきたのだ。けれど胸にすり寄った彼女があんまりきっぱりしていたから、そうかと、彼も呑み込んでしまった。自分までかんたんに、心を決めてしまった。
 もう帰りません。藤ノ木さんのそばに居ます。ずぅっと、居ます。
 だめって言われてもです、と続いた言葉に苦笑した。とっくに、言えるわけがないのにと。それから、藤ノ木と自分を呼ぶ彼女に、告げようと思った。
 ……清和、
 え?
 俺の名前だ。――本当の、
 誰が付けたのかも忘れたけれど、誰に教えたことがないのも確かだ。
 きよかず……さん?
 呼ばれた瞬間、彼はこれまでの――ただ藤でしかなかった自分と、違う自分に象られたのを憶えている。本当にこの声は、昔から巧みに自分を絡め取る。どこまでも無意識に、無頓着に。
「清和さん。清和さん……?」
 その快さに溺れながら、もう幾つもの季節をともに過ごしたのだった。




後篇

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